正義の味【2:0 30分 善悪問答邂逅台本】
20-25分
一条 真
警視庁所属の若きエリート。なのだが、犯罪捜査の第一線での傍若無人な活躍ぶりは、罪を暴くためならなんでもやるというもので、色んな意味で一目置かれている。捜査官としての勘は鋭く、その信念は危ういほど。
久遠恭也
若くして社会心理学の権威として名を馳せる学者であり、三代前の総理大臣の孫。人柄は温厚で理知的、聡明な人格者として界隈では信頼を得ている。その全ては、悪をなして巨悪を討つ、その信念のために。
2人は互いの病的なまでの善性、歪曲した悪性を直感している。それが今夜、確信に変わる。
以下本編
―――高層ビル屋上に続く階段(屋外設置型の金属製のもの)を駆け上がる一条真
その先で悠々と待ち構える久遠恭也
0:高層ビル屋上に続く階段(屋外設置型の金属製のもの)を駆け上がる一条真。
0:その先で悠々と待ち構える久遠恭也。
0:互いに初対面だが、相手が自分の望んだ人物だと直感している前提で会話をしている。
0:階段を上り終え、切れた息を整えながら、屋上から夜景を眺める久遠の背後に言葉を投げかける一条。
一条真:「はっ―はっ―はっ―はっ、やっと会えたな、蜘蛛野郎」
久遠恭也:「ククッ。誰かとお間違えではございませんか?私はただこの美しい夜景を眺めながら、夜風を楽しんでいただけの一般人ですよ」
一条真:「とぼけやがって。お前が見てたのは夜景じゃなくて、数分前に向かいのビルのオフィスで行われた殺人だろうが。
一条真:―――お前が、黒幕だな」
久遠恭也:「黒幕?一体、何の?」
一条真:「数年前から起きている一連の権力者殺し。その黒幕だよ」
久遠恭也:「さて、私にはとんと見当もつきませぬが、何か、証拠でも?」
一条真:「くっ――それは、なにもない」
久遠恭也:「あなたはどうやら警察官のようだが、証拠もないのに人を殺人犯呼ばわりとは、些か礼を失していると言わざるを得ませんね」
一条真:「悪人に無礼を働いたってなんとも思わねぇさ」
久遠恭也:「なるほどなるほど。確かにあなたの言うように私が殺人犯なら、礼を尽くす必要はないのかもしれません」
一条真:「確かに、物的証拠は何もない。お前はいつも他人の心の弱みに付け込んで、他人に殺人を犯させる。どの事件も実行犯は逮捕済みだが、不自然な謎を孕んだままだ」
久遠恭也:「そんな魔法のような所業を成せたとして、私は何の罪で捕まるのでしょう?法治国家であり罪刑法定主義を掲げるこの日本で、悪を裁くというのであれば、それは既に定められた悪でなければならない」
一条真:「そうだ。私刑はありえない。非合理的な言いがかりも、不確定な憶測でも、人は裁けない。裁いてはならない」
久遠恭也:「流石は刑事さん。よくお分かりでいらっしゃる」
一条真:「だが、未曽有の悪が存在するとしたら?まだ誰も見たことのない悪が存在するとしたら、それは野放しにされたままでいいのか?」
久遠恭也:「だから、あなたがそれを裁くと?」
一条真:「いや、俺は暴くだけ。裁くのは法だ。だからお前の悪を暴いて、悪と法のすり合わせをやる」
久遠恭也:「ククッ、面白いお方だ」
一条真:「お前はいつでもそうだ。他人の人生を弄んで悪辣(あくらつ)な笑みを浮かべる最低のクズ野郎だ」
久遠恭也:「いつでも?今日初めてお会いするはずですが?」
一条真:「俺はお前の存在に気づき始めてから四六時中お前のことを考えてた。思春期真っ盛りの女学生もドン引くレベルの片思いさ」
久遠恭也:「プロファイリング、ですか」
一条真:「お前だってそうだろう?自分の陰に気づき始めた刑事の存在を知り興味を持った。だから、今日ここに居る」
久遠恭也:「ほう」
一条真:「お前があえてここで俺を待っていたことは理解している。悔しいが、これまでだってお前は自分の尻尾を誰にも掴ませなかった。闇と同化し陰に潜み、決して日向に出ることはない。それがお前だ」
久遠恭也:「ククッ。そう、私は凶悪な事件などとは一切関係のない無辜の民。突然現れたあなたがどこの誰で、私に一体どのようなご用向きがあるのかは存じませんが―――今日は良い月夜だ。淡い月光に照らされて与太話に興じるのも、趣があってよいでしょう」
一条真:「お前は俺を試すつもりなんだろう?だが、俺はお前の張った罠を食い破ってその行いを白日の下に晒すためにやってきたんだ。精々語り明かそうじゃないか、蜘蛛野郎」
久遠恭也:「では、私から質問を。私が仮に凶悪な犯罪者だとして、あなたは物的証拠のない私をなぜ黒幕だとお思いになられたのです?」
一条真:「数年前から、政界の要人が殺害される事件が連続して起きている。どいつも黒い噂の絶えない奴だが、権力者ってのは得てして警察機構から隠れるのがうまい連中だ。こちらもおいそれと手は出せねぇ。
一条真:だから、慎重にネタを集めて裏を取ってってのを地道にやってるところを次々と殺されちまった。どれもそれなりの警備や障害があるにもかかわらず、あっさりと殺されちまってる。つまり、犯人は相当の知恵者で、政治の裏事情に詳しい奴。」
久遠恭也:「それで、三代前の総理大臣の孫であり、大学で教授をしている私、というのは、少し飛躍が過ぎませんか?」
一条真:「犯行に及んだ奴らは、被害者である権力者たちに心的外傷を負わされた奴らばかりだった。
一条真:ある人は以前から、ある人は犯行の少し前から何らかの心理的なカウンセリングを受けていた。お前の教え子がやっているセラピーや、お前自身がやっているセミナーに参加経験のあるカウンセラーのカウンセリングを。地道に調べるほどに出てくるんだよ。心理学教授としてのお前の名前がな。」
久遠恭也:「幸いなことに、私は界隈でもそれなりの地位をもっておりましてね。狭い業界内で顔が広いのは致し方ないことなのです。それを犯罪者とのつながりとしてとらえられるのは強引では?」
一条真:「だが、患者の情報を取得することは容易なはずだ。学術研究のためのデータだといえば、プライバシーの保護を前提にいくらでも入手できる。お前の場合、そのプライバシーは守られなかったってだけだ」
久遠恭也:「なるほど。私が黒幕なら利用しない手はない、と。
久遠恭也:では次の質問です。そもそも一連の事件と言いますが、本当にそれは繋がっているのですか?」
一条真:「俺も気づくまでには時間がかかった。なんせ、全ての事件に逮捕済みの犯人とまっとうな動機、犯行に使われた凶器まで揃っていたからな」
久遠恭也:「誰が、どうやって、何故やったのか。Whodunit、Howdunit、Whydunitの全てが出そろっているならば、確かにそれは最早解決済みのミステリーですね」
一条真:「ああ、誰もがそう思った。だが俺は不思議な違和感を感じた」
久遠恭也:「それは?」
一条真:「綺麗すぎるんだ。それこそ、まるで誰かにシナリオを描かれたミステリーのように、事件が綺麗に終わりすぎている。それ故に、僅かな違和感を誰もが見て見ぬふりをした。世の中には他にもごまんと事件があって、刑事ってのはそっちを追わなきゃならんからな」
久遠恭也:「だが、あなたは違った」
一条真:「まず動機だ。新聞に載ればまっとうに聞こえる恨みつらみだが、それは大抵多くの人が抱えているもんだった。それこそ、黒い噂が立つ連中ってのはそういう恨みをいろんなところで買ってるもんさ。
一条真:犯人たちは、それを急に爆発させたように見えた。人によっちゃあ何年も前の怒りを、思い出したように殺人衝動を燃え上がらせているようだった」
久遠恭也:「何かきっかけがなければ、人を殺すほどの行動を起こす引き金になり得ない。犯人たちの動機にはそういう共通点があって、それを焚きつけた『誰か』がいると?」
一条真:「そうだ。そいつが負の感情を煽り、扇動した。人の心理に詳しい先生サマなら、難しくないんじゃねぇのか?」
久遠恭也:「とはいえ、人は大なり小なり他人への嫌悪を抱えて生きているものです。それこそ殺したいほど憎い奴というのは、皆誰しも一人はいるとまでは言いませんが、珍しいほどのものでもないでしょう。
久遠恭也:そしてそれを実行しないのは、倫理観や保身と同時に、術を持たないからだ。それこそ、政界の重要人物ともなればなおさら」
一条真:「ああ。そこが二つ目の違和感。犯人たちは衝動的に犯行に及んでいるにも関わらず、未遂は一つもない。全て、殺人を遂げている。警備がついてるような有力者をだぞ?」
久遠恭也:「実際、彼らはどうやってその障害をかいくぐったのです?」
一条真:「これも大げさな違和感が発生しないように見事にカモフラージュされている。たまたま警備が外れた瞬間が発生しただの、たまたま被害者が腹痛を起こして近くのトイレにいっただのと、犯人が単独で狙って起こすには難しいし、運が悪かったと言えばそれまでって感じにな」
久遠恭也:「あなたはそれさえも、黒幕のお膳立てであると考えているわけですね」
一条真:「黒幕は、犯人たちの心を動かした後、その方法をセットで与えたと俺は考えている。殺したくて仕方がないというところまで燃え上がった衝動に、それを叶える魔法を授けたんだってな。
一条真:それも恐らく、本人たちは授けられたことに自覚がない。感情を高ぶらせた犯人たちにとっては、目の前に突然殺人が容易に行える舞台が整って出現するように見えたことだろう。
一条真:もし黒幕が『何時何分この場所で包丁持って襲いなさい』なんて言ってたなら、犯人たちの誰かが間違いなく『そいつに唆されてやったんだ』って言いだすはずだからな。」
久遠恭也:「魔法、ですか」
一条真:「偶然めぐってきた機会、動機を持った犯人の衝動的な殺人、そしてその逮捕。起承転結が綺麗すぎる。綺麗すぎて、ちいさな違和感なんて気にならないし気にしてられない。もう終わった事件として、そんなこともあったなって思い出されるだけの昔話に風化するまでそう時間はかからない」
久遠恭也:「なるほど。あなたはこの黒幕が、事件を端的に解決させることで追及を逃れていると仰りたいのですね」
一条真:「そうだ。木を隠すなら森の中というが、こいつは違う。この黒幕はそれらしい別の木を見つけさせて、探し手を満足させている。探す側に探す気がないんだから、本当の犯人が見つかるはずがない」
久遠恭也:「ククッ、確かに。」
一条真:「さて、そろそろ俺にも質問させてくれねぇか、心理学の先生サマよぉ」
久遠恭也:「ええ、どうぞ」
一条真:「あんたの専門知識を生かして考えてみてほしいんだ。この黒幕の動機、なぜ裏の権力者、それも他人に恨みを買うような外道を選んで殺させてるのか。あるいはその報復心を煽り、実行させるのかを」
久遠恭也:「Whydunit、ですか。そうですねぇ。犯人の行動の目的を考える時、通常は利益を見つけることが一番の近道ですね」
一条真:「利益。つまり、その殺人で誰が得をするのか、ということか」
久遠恭也:「ええ。逮捕済みの犯人のように衝動的な犯行でない場合、そこには打算と利益があるはずです」
一条真:「つまり、被害者の政敵ってことか?」
久遠恭也:「いいえ。政治的な敵対者なら、命を奪うのはリスクが高すぎる。それに、不祥事を暴いた方がイメージダウンにつながるので、政治家、あるいは政党としてはその方が痛手です」
一条真:「じゃあ、何かの政策で利益を得るはずの事業関係者が、その政策に反対している被害者らを邪魔者として消したとか」
久遠恭也:「彼らにそういう共通項があったかは、あなたの方が詳しいのでは?」
一条真:「そうだな。その線は俺も探ったが、成果は上がらなかった」
久遠恭也:「でしょうね。この犯行は通常のそれとは違う。単純な利益を求めた犯行ではないでしょう」
一条真:「じゃあ、この黒幕を突き動かすのは――」
久遠恭也:「信念。思想。自己が追い求める理想のための犯行」
一条真:「それは、どんな理想だ」
久遠恭也:「――刑事さん。あなたは正義で倒せない悪がいるとしたら、どうしますか?」
一条真:「なに?」
久遠恭也:「先ほども話したでしょう。法にない悪、軽率に正義を執行し難い悪、居ると分かっているのに裁けない悪。そうした、正義の手が届かない悪を、あなたはどうしますか」
一条真:「それこそ、さっき話しただろ。正義の手が届くところまで、その悪を引っ張り出すなり引きずり下ろすなりするさ」
久遠恭也:「だが、それには時間がかかる。いや、時間をかけても出来ないかもしれない」
一条真:「でも、それが俺の信念だ」
久遠恭也:「なるほど。でもこの黒幕は違う。彼―あるいは彼女、ですが―は、悪を成して、巨悪を討つ、そういう思想のようですね」
一条真:「お偉い先生サマは、この黒幕が俺たちに出来ない方法で世直しをやろうとしてるってのか?そいつなりの正義をやってると?」
久遠恭也:「ククッ。なるほど、正義。刑事さんは、正義についてどうお考えですか?人の数だけ正義がある、なんてセリフもどこかで聞いた気がしますが、世の中には絶対的な正義があると思いますか?」
一条真:「人の数だけってのは大げさだが、人が信じる数だけあるとは思ってるぜ。だから俺は、俺の信じる正義を貫くし、それが誰かの正義とかち合ったなら、存分に鎬を削るつもりだ」
久遠恭也:「なるほど、良い答えです。自分の軸がぶれないという強い意志、そして何より、『他人の正義と衝突する可能性』を考慮してらっしゃる。実に聡明だ」
一条真:「あんたはどうなんだ。正義で裁けない悪を裁くために悪に手を染めることを、正義と呼ぶのか?」
久遠恭也:「正義はね、6つのチャンネルに分かれているんです。そしてそのチャンネルごとに、人によって強弱がある。それが、人の正義を分けているんですよ。そして自分の正義とは違うものを正義として掲げる人を見た時、時にそれは悪になる」
一条真:「興味深いな。聞かせてくれよ、その6つとやらを」
久遠恭也:「弱者は保護されねばならない。物事は公正でなければならない。仲間を裏切ってはならない。
久遠恭也:目上の者には敬意を払わねばならない。神聖なものを汚してはならない。不当な抑圧には抵抗しなければならない。概ねそういったものです。
久遠恭也:実際には正義に限った話ではなく、人間の抱える道徳心を区分したものですね。正義はこの中でも2番目の項目に当てはまる。この6つを聞いて、あなたはどう思いますか?」
一条真:「全部正しいことに聞こえる。そのどれを守るのも、人として何ら不思議はねぇと思える」
久遠恭也:「そうでしょう?正義は味覚と同じなんですよ。甘味、苦味、酸味、塩味、旨味、人はそのどれもを感じられるように出来ている。でも、そのどれを好み、嫌うかは異なる。同じものを味わって、どれほどその味覚を強烈に感じるのかという度合いもね。」
一条真:「なるほどな。つまり俺は色んな味覚に囚われているが、黒幕は余計な味覚を感じないか、あるいはそれを嫌っていると」
久遠恭也:「だから、あなたにとっては正義を欠いた悪の所業かもしれないが、当の本人からしてみれば、己の正義を全うしているに過ぎないということもあるでしょう。
久遠恭也:むしろ余計なこだわりの為に時間をかけたせいで、本来味わえるはずの旨味を損なってしまう、そのような刑事さんの行為は悪だと思われるかもしれません」
一条真:「そこに、悪の美学があるとでも?」
久遠恭也:「黒幕がそれを、一般的に悪と呼ばれるものだということを承知の上で行っているのなら、美学、あるいは追い求める理想というものはあるのかもしれませんね」
一条真:「なるほどな。なあ先生、俺は黒幕に謝るべきだと思うか?まっとうな道を歩いてるせいで遠回りばかりして、救える命も阻止できる悪事も取りこぼしちまって済まねぇって」
久遠恭也:「そんなものを求めてはいないでしょうし、何よりあなた、そんな気ないでしょう?」
一条真:「ああ。微塵もねぇ。確かに、この黒幕のやり方は鮮やかだ。
一条真:犯人は恨みを晴らせて満足だろうし、殺されたクソどもが今も生きていたら、その分だけ泣いてた人がいたはずだ。
一条真:黒幕は俺たちなんかよりよっぽど、人々を救っているように見える。殺された被害者の被害者たちからすれば、まるで正義の味方なんだろうさ。
一条真:それでも、俺は自分のやり方を貫く。遠回りだろうが、自分に胸張って生きていられる生き方で生きていく」
0:次の久遠のセリフは、はっきり聞こえない独り言のように零す
久遠恭也:「ククッ。素晴らしい。『合格』だ」
一条真:「何がおかしい?」
久遠恭也:「いえね。普通、人は自分の正義によって盲目になる。いつだって他人に一番冷酷なのは、自らの行いを正しいと信じている人です。
久遠恭也:自分が正しい、間違ってなんかいないと思っているからこそ、他人のことを蔑ろにしてしまう」
一条真:「たしかに、そいつは歴史が物語ってる。差別、迫害、選民。正義の名のもとに行われてきた非道な行いってのは枚挙にいとまがない」
久遠恭也:「そう。人は正義を下しているつもりで悪を成し、時により重要な正義のために悪に染まる。
久遠恭也:この世には善人も悪人もいません。全ての人が、善い人の顔と悪い人の顔を併せ持つ。あるいはそう演じる。絶対的なものは無く、いつだって相対的な認識があるだけ」
一条真:「だったらやっぱり、結局は自分の信じる正義を胸に、突っ走るしかねぇよな。それが誰かの正義を踏み台にすることでしか遂げられねぇモンだったとしてもよ」
久遠恭也:「ククッ。そうですね。さて、そろそろお暇してもよろしいですか?刑事さん。少々身体が冷えてきたもので」
一条真:「ああ、構わねぇよ。おかげさまで今日は収穫アリだ。参考になったぜ、先生。ただな、黒幕に聞きたいことが一つ増えちまった。」
久遠恭也:「聞きたい事、ですか?」
一条真:「ああ。お前が味わってる正義は、どんな味だってな。正義に酔ってるわけでもねぇ。自分のやってることが悪だと分かっていて口にする正義の味は、うめぇのか、それとも――」
久遠恭也:「ククッ。あなたはやはり面白い。お名前をお伺いしても?」
一条真:「一条真だ。知ってんだろ、久遠恭也」
0:久遠、出口へ向かい歩き出し、すれ違いざまに言葉を発する
久遠恭也:「待っているぞ一条真。が、あまり遠回りが過ぎるようなら、その時にはもう私は正義を味わいつくした後だろう」
一条真:「待ってろ久遠恭也。最後の晩餐はもうすぐだぜ。必ず俺が、捕まえてやる」
久遠恭也:「ククッ」
0:久遠恭也、退場
0:一条真モノローグ
一条真::あいつは俺と同じだ。自分の信じた道を真っすぐ歩いてる。そうすることでしか救えないものを、自分の正義に従って救ってる。そうすることでしか変えられない現実を、変えようともがいている。俺とは、その道のりが違っただけだ。
一条真:そしてあいつは、その正義を悪と呼ぶことを自覚している。あいつは自分の正義を行うたびに、苦虫を噛み潰したような顔をしているんだろう。だったら、あいつを救えるのは俺しかいねぇ。
0:決意を言葉にするように。
一条真:「お前の悲しい正義は、俺が必ず、終わらせてやる」
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