楽書 WG2.5

Witch'sGift 2 の後書きにて触れたカラグリアでの話の一幕

書きたいとこだけ抜粋してるので順番もボリュームもめちゃくちゃです。更新は気分次第。


終盤クライマックス

王と対峙するフォスとエリーのシーン


K:カラグリア王

F:フォス

E:エリー




K:じゃあ、私は自分の幸せを諦めなければならないのか?この心が邪悪に育まれてしまったから、他人と分かち合える何かを持たずに生きていくことしかできないから!私は!!全てを我慢して不幸な人生を歩めと!!お前はそう言うのか?

F:いや、そんなことは無い。お前はその幸せを追い求めていい。

K:え?

E:は?

F:誰もそれを阻む権利を持たない。人は誰しも、幸せを掴むために手を伸ばす自由がある。

K:ふ、ふふふ、フハハハハ!!そうだよなァ!そうだとも!!どんなに醜い情動だろうと、どんなに悪辣な事象だろうと!私の幸せはそこにしかない!!私は、私の幸福のために、あまたの命を踏みにじり、悦に入り、私こそが君臨者なのだと声高に哄笑をあげるのだ!その愉悦を、なんの権利があって愚民どもに簒奪されねばならぬのか!そうとも、私の下卑た幸福は貴様らが汚泥を舐めることで満たされるのだ。これからも存分に、生きてくれ。私の人生の充足のために。私の足元で、いつ何時でも踏みにじられ苦悶の表情を浮かべられるように、末永く。

E:っーーーこの!

F:いい趣味だな。この掃き溜めの頂に君臨するに相応しい下劣さだ。

K:ありがとう、銀髪隻眼の旅人よ。ところで君はどうしたい?それらと同じように我が足元で砂塵に塗れて血反吐を吐いてくれるかね?それとも、君主に刃向かった者の末路を知らしめる人柱となって、亡骸が骨になるまで城門に飾ろうか?選択肢は2つだ。

F:違うな。間違っているぞ、空虚な王よ。お前に許されるように、俺にも常に、幸せを求めるという選択肢が許されている。

K:あぁ、許そう。お前がそう言って私が頷いたのだ。求めることは、許そう。だが――衛兵!

(ぞろぞろ出てくる)

K:それをつかみ取れるかは、また別の問題だな?

F:そうとも。人の幸福は往々にして衝突する。同じ人の幸せを願ってさえ、人は拳(けん)を交え、傷つけあうこともある。だからこそ、最終的に望みをつかめるものは限られる。

K:よく分かってるじゃないか旅人よ。お前は『掴めない側』なのだよ。

F:愚王よ。その二者を分かつものはなんだと思う?

K:『力』だ!何者にも屈しない圧倒的な力!!

F:いい答えだ。だか足りない。

K:何?

F:幸福を掴み取るのに必要なもの、それは己が道を貫く『力』と、自分自身さえも傷つける『覚悟』だ!!

K:何?なんだこの揺れは?!

s:ご報告申し上げます!城門が突如爆散し、武装した奴隷民が押し寄せています!

K:なんだと?!

F:お前が大事に貯蔵していた採掘用の爆薬を拝借した。堅牢な城門も豊富な武器庫も、今頃鉄クズだ。

K:おのれ――

s:城内各所で暴動発生!ここにももう間もなく うわっ!」

(押し寄せる奴隷民衆)

「よくも娘を!」「お父さんの仇!」「報いを受けろ!」

K:なっ!貴様らは・・・!

(民衆に取り囲まれる王)

F:お前は踏みにじるばかりで、踏みにじられる覚悟をしていなかった。空虚な王位に胡坐をかいて、一方的な悦楽に浸り、自分の足元にいる者たちがどんな目をしているのか見ていなかった。これは、その報いだ。

K:くっ!きっさまぁぁぁぁぁぁ!!

F:撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ。お前に、その覚悟はあるか?

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